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【「あとがき」リリース記念】トンボコープ×花田健吾監督 対談インタビュー

<「あとがき」リリース記念>
トンボコープ×花田健吾監督 対談インタビュー

2024年7月3日に公開された「彗星」MVでの出会いから、2025年1月15日に公開となる新曲「あとがき」MVまで計5本の映像作品を通してトンボコープ(雪村りん、そらサンダー、でかそ、林龍之介)と花田健吾監督が築いた半年間の軌跡について振り返る。


もはやメンバーみたいな監督と出会いたい

雪村: トンボコープと花田さんの出会いのきっかけは、トンボコープのスタッフが花田さんと知り合いで、作品を見てすごく良いと思ったのでみんなで頼もうってなった感じですね。

林: トンボコープ的にも楽曲制作のやり方も変わったんだよね、この「彗星」から。

でかそ: さらにレベルの高い音源を制作していこうという話し合いの元、編曲やレコーディング・ミックスの環境や進め方をこれまでと変えたタイミングが「彗星」。

林: 俺ら的に、もはやメンバーみたいな監督さんと出会いたいよねって話をしている中で花田さんに出会いましたね。

花田: 嬉しいですね。

そら: 最初はなんかモシャモシャの犬みたいな人だと思いました(笑)

林: まず初めにお願いした「彗星」なんですが、この曲は過去にすごく好きな子がいたときに好きだけど付き合えてないむず痒い状況に対して「そろそろケリをつけなきゃ」と思っていた当時の気持ちを書いたんですけど…、花田さんともマインド的に合致するところがあって。

花田: トンボコープ作品にも携わってもらっているプロデューサーと「彗星」の歌詞を読んで、「林くんは友達だ…」ってずっと言っていて(笑)すごい共感しました。でも第一印象は「怖い」だったな(笑)10歳くらい違う人と何かを一緒に作るっていう経験が無かったので、数的な不利をすごく感じていて…。MV を作っていく上でどうしたら引き出していけるかとか考えたりもしていました。怖かったなあ…。

林: 見た目で言ったら花田さんのほうが全然怖かったですよ…(笑)

花田: でも蓋開いたら自分も好きだったものが共通項というか、世代が受け継がれていく感がすごく良かった。BUMP OF CHICKENさんが好きなところとか…。あとトンボコープ全体に言えることだけど、すごく良い意味で変だと思っていて。というのもストレートな表現をしていながら良い意味で通例から外れている部分がフックになっていたりしていて、ただストレートに表現している人たちともなんか違うなっていう印象があります。「彗星」を初めて聴いたときも、これはただの真っすぐな曲とは違うぞと感じたことを良く覚えています。音のこだわりが細部に宿っているような気がしていて、ここでこういうメロに入るんだみたいなのとか。

「彗星」MV 撮影 

でかそ: ロケ地が戦が行われてそうな周りにマジで何もない原っぱでした(笑)

林: これは花田さんあるあるなんですが、陽が出ているシーンを陽が出ているうちに撮影できないっていう問題が発生して(笑)街灯もない本当に暗い場所で自分で足元を照らして歩くみたいな…過酷な撮影でした。

花田: 本当に申し訳ない…。

一同: (笑)

花田: でも、本当に演奏の魅せ方が上手いと思いました。出来ない人は何回やっても出来ないんだけど、みんなちゃんと自分の魅せ方を分かってやっているから撮影していて楽しかったですね。

でかそ: 「彗星」MVは公開直後にリュックと添い寝ごはんのユウくんから「良い!」って連絡がきました!

雪村: 僕もSNS載せたときにすごい反応がきました。制作環境が変わって一作目だったので不安もあったんですけど、それまでの作品より嬉しい言葉がたくさん送られてきたので、僕らだけじゃなくていろいろな人から見ても良い作品になったんだなと思えました。

そら: 家族が「彗星」のMVが一番好きなんですよ。いつも撮影前に「次のMVの監督も花田さんだよ」って言うと喜んでます。

花田: 嬉しいんだけど(笑)

「フラッシュバック」MV撮影

林: はじめから僕たちの中で花田さんと何作かやってみたいという想いではあったんですが、実際に「彗星」MVの出来栄えを見て、次の「フラッシュバック」も一緒にやりたいなとより強く思いました。

雪村: 「フラッシュバック」は楽曲制作の際も普通じゃないトンボコープらしくなるような個性を追求していたので、そうなると映像は花田さんに監督をお願いしたいなと僕も思っていました。

花田: 「フラッシュバック」はトンボコープの曲のなかで1位2位くらいに好きで、「彗星」のときに思った“良い意味で変”が確信に変わった楽曲でした(笑)その良い意味の違和感も面白いと思ったし、林くん作詞作曲の「彗星」がギターロックだったのに対して、りんくん作詞作曲の「フラッシュバック」がまた全然違うアプローチの曲だったことも面白かったし、トンボコープの幅広さを感じました。MVの内容は、りんくんから曲のコンセプトを聞いてはいたんですが、失恋を失恋として描くことが自分の作風的には難しくて。女の子が見ていたテレビを壊すことで失恋から払拭して次の一歩に進むっていう展開と、現在と過去で同時進行しながら過去が劣化していく構成が個人的に面白く出来たなと思っています。

林: 「フラッシュバック」のMVは、花田さん作品の中でも結構好きで、この曲の世界観を映像として上手く表現してくれていると思っています。テレビを壊すシーンもすごく好きです。

花田: 実はあのテレビ、一番はじめに撮影用で手に入れためっちゃ思い出のあるテレビで…。VHSのテープを繰り返しダビングして画質を劣化させていく映像演出が好きなんだけど「フラッシュバック」も含めて過去に数回行なっていて、今回はその演出と決別するっていう意味でも大事にしてたテレビを一発やるかっていう…。昔のだから真空管が入っているらしくて、壊すときに爆発するかもって聞いてたからプロデューサーとビクビクしながら破壊しました(笑)

一同: そうだったんですか!?

daratto」と「オールアローン」

林:「daratto」と「オールアローン」は、両方とも『WORLD ILLUMINATION』っていう僕たちのはじめてのワンマンツアーの前には出来ていた曲で、ツアーを盛り上げるために全然タイプの違う二曲をサプライズで演奏したり、リリースできたら面白いよねってチームで話をしていました。結果的に「daratto」はツアー中にリリースし、「オールアローン」はツアーの各公演のオフショットやファイナルのライブ映像をまとめてMVにするっていう感じで1個の思い出としてリリースしました。ちなみに「daratto」はボーカル以外レコーディングスタジオで録音しない全部打ち込みで作ったのに対して、「オールアローン」は四人で一発録りでレコーディングして、本当に真逆の制作って感じがして楽しかったです。

花田: 「daratto」のMVなんですが、個人的に初めてダンサーを入れて撮った作品で、『雨に唄えば』っていう映画をモチーフにしていて、眠る前とかに悶々と悩んだりするけど、最終的に時間が解決してくれるよねっていうことがこの曲の伝えたいことだと思うんだけど、その悶々としてる時って心は雨模様かもしれないって考えたのがMVの取っ掛かりで。雨の中で踊ることで発散している様子を映像に落とし込めたのが良かったと思います。「オールアローン」は、撮ってきてもらってツアーの各公演のオフショットと、実際に自分で撮影したファイナルの映像を組み合わせて作ったんですけど、ファイナル公演のときに今までのMV撮影のときよりももっと密着して撮影が出来て、みんなとさらに距離が詰められた体験でした(笑)編集していて、ツアーを一緒に回りたかったな、って思った!

一同: 回りましょう!

林: あと「daratto」のMV撮影のエピソードだと、ロケ地が一般の人からも見える場所で、りんが撮られているところをメンバーで見ていたら、野次馬的な人がでかそに「誰すか?」って聞いてきて、でかそがその人に逆に「誰すか?」って返すっていうね(笑)

でかそ: 普通にめちゃくちゃ気まずい時間が流れて…(笑)

そら: 俺は撮影の時本当に体調悪くて、マジで記憶ないす…。

新曲「あとがき」MV

雪村: 「彗星」の時に環境もマインドも結構変わって、「あとがき」はさらにもう一段の進化というか頂点を目指していくという気持ちで挑む一作目。失恋の曲だけど「フラッシュバック」とは違う角度から見た描き方というか、もっと深い場所まで歌っている曲で、MVもそういうものにしたくて、直接的な表現とかは避けつつ、深いところまで伝わるような。花田さんにお願いをして…さすがだなと。

でかそ: セリフが無くても状況がはっきり分かるMVで…めちゃくちゃ好きです。

花田:「あとがき」っていうタイトルが本当に良いなと思って。恋っていうもののあとがきは別れる寸前かなって思ったところがこのMVの取っ掛かりでした。歌詞自体に意外と余白があって良いなと思って、そういう部分とかも踏襲して。でもMVに0から100を描くことは多分無理で、それならエンディングの部分だけを描きたいなと企画の段階で思っていました。それと、恋の終わりが劇的なものって実際はそんなに無くて、ゆるやかに下っていくことがリアルだと思っていて、だから本当は好き同士なのに噛み合わなくなっていって結局離れちゃうっていうことを描きたいと思っていました。なので、そんなようなことを感じてもらえたら嬉しいです。

林: 「あとがき」のMVを観ている中で恋をし、失恋をするので持ち物はいりません。手ぶらで観てください(笑)

そら: でもハンカチは持って見たほうが良いと思います!

2025年について

林: 予想出来ない感じで物事が進んでいくと思うんですけど、確かなことはめちゃくちゃ良い曲がたくさん出るっていうこと。「あとがき」はワンマンで披露できたらと思っているのと、大きな会場が似合うようなスケール感のある曲がこれからもっと増えてくるので、是非4/4に豊洲PITで開催するトンボコープの3周年記念ライブ「BIRTHDAY」に来て欲しいです。

花田: 僕の目標なんですけど…毎回良いものを作ろうとは思っているんですが、例えば30年後も観られているような超大作、名作を作れるように頑張りたいです(笑)

 

 

花田健吾(映像作家)Instagram @ken4649

写真:Koetsu Ito